特集 外傷
3.外傷と蘇生
松島 一英
1
Kazuhide MATSUSHIMA
1
1Penn State College of Medicine 外科
pp.467-478
発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100316
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虚血性心疾患の既往がある60歳の男性。交通事故後に搬送され,腹腔内出血の診断にて緊急開腹術が施行された。肝損傷,脾損傷に対するダメージコントロールdamage control手術の後,閉腹しない状態(open abdomen)で集中治療室へ入室となった。この時点で約5Lの出血に対して10Lの輸液,10単位の赤血球輸血,40単位の新鮮凍結血漿輸血,40単位の血小板輸血が施行されていた。ベッドサイドで診察を行うと,収縮期血圧は依然として70~80mmHg台を推移しており,開放管理となった創部からは出血が続いている。
──集中治療医は,このような重症外傷例に対してどのようなアプローチで蘇生を行えばいいのであろうか。本稿では,前述の症例をベースに,重症外傷の急性期における蘇生,特に循環蘇生について解説する。
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