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本稿では「Intensivist」の趣旨である世界の標準を紹介するという立場から,sepsisに伴う凝固異常について俯瞰したい。病態生理,診断基準などについての詳細は,本特集の前半および成書に譲り,sepsisに伴う凝固異常の診療の基本と抗凝固療法の現状について述べる。
播種性血管内凝固disseminated intravascular coagulation(DIC),特にsepsisに伴うDICの基礎的研究が本邦で目を見張る進歩をとげた。また,その成果が臨床応用された形で,診断基準の発達やいくつかの治療法の開発へと結実した1)。今後,このような素晴らしい研究成果が臨床疫学的研究成果へと花開き,確固たるエビデンスとして世界に発信できるようになることを期待したい。
しかしながら現在,内外のsepsisによる凝固異常に対する臨床集中治療医の態度には温度差があるようだ(メモ1)。本稿の趣旨は,内外どちらの凝固異常診療が優れているかという解答不能な質問に答えようとすることではなく,sepsisによる凝固異常を世界標準という視点でまとめ,忙しい読者に日常臨床で役に立ててもらえるようにすることである。
このような内外の温度差を具現するものかどうか定かではないが,最新のSurviving Sepsis Campaign Guideline(SSCG)2008でも「凝固異常coagulopathy」という用語が使用され,DICという用語は使用されていない2)。しかし,sepsisを基礎疾患とする凝固異常とDICは,概念としてほぼ同義であると考えてよいだろう。文献の原文を忠実に引用するために,「凝固異常」と「DIC」という用語の両方が登場するが,筆者の頭のなかでは区別していないので,誤解のないようにお願いしたい。
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