特集 Sepsis
6.末梢循環不全とearly goal-directed therapy(EGDT)
平 泰彦
1
Yasuhiko TAIRA
1
1聖マリアンナ医科大学 救急医学
pp.275-290
発行日 2009年4月1日
Published Date 2009/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100193
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■ショック
ショックの概念
ショックの概念の起源をたどると,出血性ショックに関する病態に端を発するようである。ヒポクラテスは外傷傷病者に対して止血法を行い,Paréは血管の結紮法を示した。外傷,出血による症状から全身状態の悪化としてショックをとらえたのは Guthrie(1815年)といわれる。Crileは出血性ショックにおけるCVPの低下と,循環充満圧と心拍出量の関係を示した。また,Beecherは心拍出量の低下した状態をショックとした1)。
その後,出血のみならず,重症感染症でも出血と同様の重症病態を示すことが明らかになり,septic shockの概念,そしてショックの遷延により複数臓器の機能不全が観察され,多臓器不全 multiple organ failure(MOF)の概念が提唱された。ショックの概念は,①血圧の低下から,②組織への血液灌流不全と変遷し,現在では③末梢組織・細胞での酸素代謝異常,と定義される。
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