症例ライブラリー —こんなことがないように—クスリのリスク
挿管後に突然の血圧上昇
中村 龍
1
Ryu NAKAMURA
1
1岡山大学病院 麻酔科蘇生科
キーワード:
誤薬
,
誤投与
,
リスクマネジメント
,
ミズチバ
,
インシデント
Keyword:
誤薬
,
誤投与
,
リスクマネジメント
,
ミズチバ
,
インシデント
pp.234-237
発行日 2025年3月1日
Published Date 2025/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320030234
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■症例
59歳の男性。身長171cm,体重86kg(BMI 29.4,標準体重64.3kg)。以前から胆石発作を繰り返しており,腹腔鏡下胆囊摘出術が予定された。高血圧に対しカルシウム拮抗薬とアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬を,脂質異常症に対しスタチンを内服中。術前心電図,呼吸機能検査,胸部X線検査,血液検査はいずれも大きな異常はなく,またアレルギーや特記すべき家族歴もなかった。
担当麻酔科医は執筆中の論文が佳境に入っており,毎晩帰宅が遅く当日は若干朝寝坊したが,慣れた手つきで麻酔器の始業点検を済ませ,気管チューブを準備し,薬物を吸い上げシリンジポンプをセッティングしたところで患者が入室してきた。
入室時の血圧は147/86mmHg,心拍数は72bpm。麻酔は100%酸素投与下にレミフェンタニル0.3μg/kg/min,プロポフォール100mg,ロクロニウム50mg,セボフルランで導入した。脳波の抑制とtrain-of-four(TOF)0を確認し,問題なく気管挿管を終えた。ところが,人工呼吸器の設定を確認しているとモニターのアラームが鳴り,血圧191/105mmHg,さらに再検査すると210/112mmHgまで上昇した。心拍数も110bpmだ。
さて,あなたならどうする?

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