徹底分析シリーズ 帝王切開の全身麻酔を紐解く
術中覚醒をどう予防する?—帝王切開の全身麻酔導入薬は何がよいのか
細川 幸希
1
Yuki HOSOKAWA
1
1昭和大学医学部 麻酔科学講座
pp.1078-1082
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202113
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夜中2時。遠くで電話の音が……んー,ここはどこだっけ? ああ,当直中だったな。暗がりの中で寝ぼけながらPHSをとる。
「もしもし,麻酔科当直です…」
「緊急帝王切開をお願いします!」
妊娠40週0日,分娩進行中。陣痛のたびに高度変動一過性徐脈を認めるが,脊麻をする余裕はありそうとのこと。急いで部屋を準備して,陣痛に悶える妊婦を迎える。陣痛のたびに海老ぞりになる背中と格闘すること10分。これ以上粘っても入る気がしない。全身麻酔へ切り替えよう(※)。喉頭鏡,気管チューブ,最低限の導入薬(※)を準備して,酸素化して,導入して,挿管……喉頭蓋が見えない!? やっぱりビデオ喉頭鏡にしておけばよかったな(※)。軽〜く換気をしながら,看護師がビデオ喉頭鏡を準備してくれるのを待つ。2回目のトライで挿管成功! ふぅ。「手術開始どうぞ!」と高らかに宣言。BIS®が表示されないけれど,後で確認しよう(※)。まずは目パッチして,胃管を入れて。あ,赤ちゃん生まれたのね,おめでとう! 元気に泣いてくれてよかった! では静脈麻酔に切り替えましょう*1。アッ! 吸入麻酔薬を投与していなかった(※)! 術中覚醒,大丈夫かなぁ…,あとは祈るしかない。
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