特集 帝王切開術
帝王切開術の麻酔
岩井 誠三
1
,
近藤 憲吉
1
Seizo Iwai
1
1神戸大学医学部麻酔学教室
pp.795-802
発行日 1971年8月10日
Published Date 1971/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204468
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はじめに
最近における産科学の進歩ならびに麻酔学の発展・普及による安全性の向上から,帝王切開術は世界的にその頻度が増加する傾向にあり,諸家の報告によれば全分娩数の4〜8%に達するといわれている。もとより帝王切開術の目的は,正常分娩によつては母・児のいずれか,または両者になんらかの危険が考えられる場合,手術によつて速かにこれらの危険を回避し,両者の安全性を確保していくことにあり,帝王切開術の麻酔においては常にこのことを忘れてはならない。もちろん,帝王切開術の麻酔のみならず,すべての場合において唯一無二の麻酔法はなく,個々の症例の有する病態,麻酔医の有する経験などによつて適切な方法がおこなわれるべきであり,このためには妊娠末期における母児の病態生理,麻酔法,麻酔剤の母児に対する作用,さらに帝王切開術そのものが母児に及ぼす影響などについて理解しておく必要がある1〜4)。
そこで今回は少数例ではあるが,われわれのおこなつてきた帝王切開術の麻酔を含めて最近における文献的考察をおこない,よりよい方法の検討を試みた。
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