Medical Scope
前回帝王切開例の次回分娩はどうしたらよいでしょう
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.553
発行日 1990年6月25日
Published Date 1990/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900122
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前回の分娩時に何らかの理由で帝王切開術を行なった妊婦の次の分娩はどうしたらよいか,つまり帝切か経腟分娩か,という論議はこれまで何回となくくり返されてきました。しかし,20年前と現在とでは分娩の監視体制や方法も一段とちがってきているので,現代的にこの話題を考えてみるのも意義あることと思います。
今日,帝王切開術というと,子宮切開は下部を横切開するのですが,以前では古典的帝切といって,子宮体部を縦切開する手技が主流でした。この方法はもう実施されていないと思うので,今回の議論からははずして考えましょう。では,帝切となった理由は何であれ,子宮下部を横切開した症例は,そんなに次回の分娩で子宮破裂をおこすものでしょうか。前回帝切例の次回分娩で問題となるのは第1にこの子宮破裂,第2に遷延分娩などの難産,第3にいろいろな原因による多量出血だろうと思います。20〜30年前は子宮破裂がこわくて,1度でも帝切したら次からの分娩はすべて帝切で行なうべきだという考え方,“Once Cesarean Section,always Cesarean Section”ということばが有名になり,その方針が貫かれていました。
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