徹底分析シリーズ 血漿分画製剤
巻頭言
内藤 祐介
1
1奈良県立医科大学 麻酔科学教室
pp.147
発行日 2025年2月1日
Published Date 2025/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320020147
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- 文献概要
読者は,血漿分画製剤をいくつ挙げることができるだろうか。アルブミンやハプトグロビンあたりまでは誰しもが,ICUで働く機会が多ければアンチトロンビンや免疫グロブリンなどは思いつくかもしれない。これらの製剤は血液を原材料として製造されたものであり,特定生物由来製品の中の一群である。そのため,一般医薬品とは異なるリスク評価や厳密な効果判定のもとで使用されるべきであることは言を俟たない。一方で,これらの製剤は普段われわれが使用するエフェドリンやニカルジピンなどの短時間で効果を実感できる薬とは異なり,効果判定が難しいという側面もある。また,重症感染症における免疫グロブリンの抗菌薬との併用など,理論的には有用であるものの予後改善効果を示せていないものも存在する。そのため,これらの製剤はともすればexperience based medicineで投与されていることも多いのが現状ではないだろうか。
本徹底分析シリーズでは,これらの血漿分画製剤について基礎から解説しつつ,最終的には実臨床での具体的な使用イメージが掴めることを企図した。執筆者らは最新のエビデンスをもとにした適応および使用上の注意点,これらの製剤の効果判定が難しい背景や今後の研究課題についても触れており,日常診療で直面する疑問や課題に対するヒントが提供できていると感じる。本特集を通じて,多くの麻酔科医・集中治療医が血漿分画製剤を適正に使用できるようになることを願っている。
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