症例ライブラリー 術後の覚醒遅延
巻頭言
内藤 祐介
1
1奈良県立医科大学 麻酔科学教室
pp.629
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202570
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- 文献概要
今回の症例ライブラリーは術後の覚醒遅延を取り上げた。覚醒遅延はさまざまな定義があるものの,一般には「麻酔薬投与中断から30分以上意識の回復がない状態」を指す。そこまで長い時間,意識の回復が得られないことはまれかもしれないが,麻酔科医なら誰でも自分の考えたタイミングで患者が麻酔から覚めずに焦った経験があるはずだ。その多くは麻酔薬の残存が原因で,気長に待ちさえすれば大事に至らずに抜管でき,意識の回復が得られる。ただ,ごくまれに何らかの病態が存在し,それらが麻酔薬の残存と複雑に絡み合い意識障害を遷延させる。抜管せずにICUで一晩経過をみますと宣言する前に除外しておかないと後遺症が残る可能性のある疾患は? 麻酔科医ならば見過ごすべきではない病態は? 5人の執筆者に,症例をもとにさまざまな病態を解説していただいた。これでもう,覚醒遅延は怖くない!?
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