症例検討 予期せぬICU入室 2
巻頭言
松永 明
1
1鹿児島大学医学部 麻酔・蘇生学講座
pp.1099
発行日 2017年11月1日
Published Date 2017/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200997
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- 文献概要
今月号も先月号に続き「予期せぬICU入室」である。今回は,大量出血に伴う循環不全の症例,呼吸不全の症例,長時間手術に伴う気道浮腫が疑われる症例である。循環不全と呼吸不全の2症例は,誰もがICUでの術後管理が必要と考えるだろう。ICU入室が必要かどうかの判断に迷うのは,三つ目のような症例であろう。すなわち,外科医は病棟での管理を希望し,麻酔科医はICUでの管理が安全と考えるような場面である。そして,このような症例にはしばしば遭遇する。原因は何であれ,判断に迷った場合はICUに入室させるべきであると筆者は考える。なぜなら,夜間の病棟は手薄である。外科医は長時間手術で疲れ,看護師もベッドサイドに常にいるわけではない。特に,気道系のトラブル症例は要注意である。手術室と異なり,病棟での気管挿管は難しい。また,さまざまな原因で予期せぬICU入室となるが,一晩のICU管理で,ほとんどの症例は翌日には病棟へ帰室できる。
麻酔科医は,ICU入室が必要と判断した場合,ICU入室の必要性を外科医に論理的に説明し了承を得ることはもちろんであるが,すみやかに集中治療医に連絡し,ICUベッドの確保を行うとともに,集中治療医と今後の治療方針を検討し,安全な術後管理に繋がるような術中管理を行うことが重要である。
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