症例検討 腎機能低下患者の麻酔
巻頭言
松永 明
1
1鹿児島大学医学部 麻酔・蘇生学教室
pp.255
発行日 2017年3月1日
Published Date 2017/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200803
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- 文献概要
術前からの腎機能低下は周術期急性腎障害(AKI)のリスク因子の一つであり,周術期AKIの発症は,短期のみならず長期の患者予後を悪化させる。AKIに対する決定的な治療法が存在しない現時点では,発症を予防することが最も重要であり,麻酔科医に課せられた役割は重大である。しかし,こうすれば予防できるという有用なモニタリング方法やエビデンスのある管理法は確立していない。つまり,周術期AKI予防には麻酔科医の高い臨床能力で実現するしかない。
今回取り上げた症例は,透析患者症例を除いてどれも周術期AKI発症のハイリスク症例である。病態,腎機能,手術侵襲は症例ごとにさまざまで,その症例に応じた周術期管理が必要である。どの症例も,経験豊富で幅広い知識にもとづいた高い臨床能力をもつ麻酔科医が詳しく解説しているので,その考え方を臨床に役立ていただきたい。
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