症例検討 ちょっと複雑な冠動脈バイパス術の麻酔
巻頭言
松永 明
1
1鹿児島大学医学部 麻酔・蘇生学講座
pp.1119
発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100483
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- 文献概要
冠動脈疾患に対する冠血行再建術は,冠動脈バイパス術coronary artery bypass(CABG)と経皮的冠動脈インターベンションpercutaneous coronary intervention(PCI)に大別されるが,2004年からわが国でも使用可能となった薬剤溶出性ステントdrug-eluting stent(DES)の登場に伴い,これまでCABGが適応とされていた3枝病変や左冠動脈主幹部病変においてもPCIが選択されることが多くなった一方で,左室形成術や弁形成術などの複合手術が必要となる症例,DESの適応が困難または適応されても遠隔期の予後が不良な慢性腎不全や糖尿病症例などにCABGの対象は限局化および重症化してきている。
このような現状に沿って今月の症例検討のテーマは,「ちょっと複雑な冠動脈バイパス術の麻酔」である。提示した症例のなかには,限られた施設でのみ施行されているような重篤な症例に対する心臓手術も含まれているが,その麻酔計画・麻酔管理の考え方を学ぶことは重症患者の呼吸循環管理に役立つと思われるので,興味深く読んでいただければ幸いである。
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