症例検討 下肢の手術
巻頭言
松永 明
1
1鹿児島大学医学部 麻酔・蘇生学講座
pp.643
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200610
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- 文献概要
下肢の手術は,膝関節鏡手術や骨接合術など,開胸手術や開腹手術に比べると侵襲度の小さな手術が多い。しかし患者は,スポーツ中に断裂した前十字靭帯再建術を受けるきわめて健康なスポーツ選手から,閉塞性動脈硬化症の下肢切断術を受ける糖尿病,心筋梗塞,透析など,さまざまな合併症を有した重症の高齢者まで,その全身状態はきわめて幅広い。麻酔法は,全身麻酔,硬膜外麻酔,脊髄くも膜下麻酔,末梢神経ブロック,局所浸潤麻酔などが選択可能で,そのいくつかを組み合わせることで,さらに選択肢は多くなる。多くの選択肢の中から,合併症などを含めた患者の全身状態,鎮痛やリハビリテーションなどを含めた術後管理だけではなく,スポーツ選手には致命的となる神経症状の残存を防ぐなど,患者の特性にも配慮して,その患者にとって最良の麻酔法を選択したい。
本症例検討で取り上げた下肢の手術は,麻酔科医ならば誰もが日常よく経験する症例であるが,その周術期管理は,麻酔法の選択を含め,われわれ麻酔科医を悩ますような症例ばかりである。各方面のエキスパートの選択を学んでいただきたい。
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