症例検討 デスフルランを使いこなそう 1
巻頭言
稲田 英一
1
1順天堂大学医学部 麻酔科学・ペインクリニック講座
pp.465
発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200854
- 販売していません
- 文献概要
デスフルランは2011年に発売されて以来,その応用範囲は広がってきている。血液/ガス分配係数が小さく,その覚醒の速さについて期待され,日帰り手術を含め,短時間手術における使用が予測されていた。実際に使用してみると,覚醒の質が良いことや,長時間手術や肥満者でも覚醒が早いだけでなく,覚醒の個体差が少ないことなどから,急速に応用範囲が広がってきた。気道刺激性があるため麻酔導入には使用せず,麻酔維持にのみ用いられているが,気管挿管症例のみならず,声門上器具を用いた全身麻酔でもよく用いられている。麻酔導入時の十分なプロポフォールの使用や,術中を通じてレミフェンタニルやフェンタニルによる鎮痛を図ることも重要である。
今回は,デスフルランの利点と欠点についての総説に続き,日帰り手術,長時間手術,小児手術,声門上器具を用いた麻酔などについて症例検討を行った。デスフルランにおいては,全静脈麻酔と比較して術後悪心・嘔吐(PONV)の頻度が高くなる。PONVの予防対策についても取り上げた。
日常的によく使用されているデスフルランについて,その利点と欠点をよく理解し,上手に使いこなせるようになっていただきたい。
Copyright © 2017, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.