徹底分析シリーズ 気道確保のストラテジー
巻頭言
稲田 英一
pp.1
発行日 2007年1月1日
Published Date 2007/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100203
- 販売していません
- 文献概要
麻酔科医にとって気道確保ができないことは悪夢である。気道確保ができなければ,心停止が起きても心肺蘇生の成功も望めない。十分なモニタリングを行うことにより,気道確保が困難となっていること,患者の状態が危うくなっていることを客観的に早期に評価することはできる。しかし,気道確保をすることには役立たない。気道確保の失敗により重大な脳障害が起きたり,死に至ることは国内外の麻酔の安全にかかわる研究が示している。
重大な事象を防ぐためには,第一に,気道確保が困難であるかを予測し,それに対して十分な対処法を考え,準備をしたうえで麻酔管理を行うことが重要である。また,予測されなかった気道確保困難に遭遇した場合には,米国麻酔科学会の困難気道ガイドラインなどに従い冷静に順序だてて対処する必要がある。そのためにも,ふだんからシミュレーションを行っておく必要がある。また,気道確保困難時に有用であるとされる多くの器具が開発されているが,急に使ってもうまくはいかない。日頃からそれらの器具の使用に習熟しておく必要もある。
患者の安全を守るためには,術前評価,困難気道遭遇時のアルゴリズムの理解,日頃からのシミュレーションやトレーニングなど気道確保のストラテジーをしっかりと身につけておかなければならない。
Copyright © 2007, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.