徹底分析シリーズ 麻酔器
知れば臨床が面白くなる
巻頭言
稲田 英一
1
1順天堂大学医学部 麻酔科学・ペインクリニック講座
pp.977-979
発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200395
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麻酔器は麻酔科医にとっての必須アイテムである。その価格は,付属品,モニター類まで含めれば1千万円を優に超える。それもそのはず。麻酔器には麻酔薬投与装置だけでなく,生命維持装置,生命監視装置がついているのである。そのように重要な麻酔器なのだが,その構造や詳細な機能をよく理解している麻酔科医は少ないようである。麻酔開始前には必ず始業点検を実施するが,麻酔器の機能や,安全機構の理解なしに,その内容を理解することはできないし,トラブルが起きた際のトラブルシューティングもできない。
安全に麻酔を実施し,患者の生命を守る麻酔器であるが,その機能の不備のために,多くの命が失われ,恒久的な脳障害が起きたりもしてきた。そうした不幸な事故から学び,麻酔器に備わる安全機構は整備されてきた。今回の徹底分析シリーズでは,最初に麻酔器の基本構造について解説した後,重要なパーツについての解説を行う。気化器や,浮子流量計(最近はデジタル式のものが多いが),酸素供給源の構造と機能について理解していただきたい。人工呼吸に必要な人工呼吸器,呼吸回路,一方向弁,APLバルブ,レザーバーバッグ,二酸化炭素吸収装置などの理解も重要である。まず,自分で麻酔器の基本構造を図に描いてから読み始めることをお勧めする。
何よりも重要なのは,麻酔器にはさまざまな安全機構が備わっているが,それを実際に麻酔の安全に活用できるかは,麻酔科医にかかっていることである。
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