症例検討 麻酔導入法で悩む症例
巻頭言
稲田 英一
pp.1203
発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100524
- 販売していません
- 文献概要
麻酔導入は麻酔科医が最も緊張する時期の一つであり,麻酔科医にとって悩みのつきない時期である。たとえ,全身状態が良好な患者であっても,覚醒から麻酔状態へと移行するなかで,気道閉塞,血行動態変化など多くのことが起こりうる。重大な重要臓器疾患をもつ患者では,予備能が少ないために麻酔導入もさらに慎重に行う必要がある。そして,多くの場合,いくつかの重要臓器疾患が合併していたり,フルストマックといった厄介な事情を抱えている。特に一人当直しているような晩に,nightmareのような症例の緊急手術の麻酔をしなければならない羽目になることもある。こういった症例では,ほんのわずかな判断ミスが最悪の事態worst scenarioを起こしかねない。
今回の症例検討では,重症喘息患者の卵巣茎捻転,重症冠動脈疾患による心不全患者の誤嚥,フルストマックの肥満患者の脳動脈瘤破裂,フルストマックの妊婦における胎児仮死,扁桃摘出後の再出血といった症例が取り上げられている。どれもnightmareであるが,しばしば遭遇する症例でもある。このような症例においては,最大の問題点は何なのかを見きわめ,適切に対処することが麻酔管理のキーとなる。これは麻酔科の醍醐味でもある。
さて,あなたはこれらの症例にどう立ち向かいますか。
Copyright © 2007, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.