徹底分析シリーズ 続 痛み治療の素朴な疑問に答えます
医療用麻薬常用患者の日本出入国には,どのような手続きが必要ですか
山口 重樹
1
,
岸田 さな江
2
,
奥田 泰久
3
Shigeki YAMAGUCHI
1
,
Sanae KISHIDA
2
,
Yasuhisa OKUDA
3
1獨協医科大学医学部 麻酔科学講座
2獨協医科大学病院 地域医療連携センター退院支援室
3獨協医科大学越谷病院 麻酔科
pp.242-249
発行日 2017年3月1日
Published Date 2017/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200801
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緩和ケアの普及,使用可能な医療用麻薬の多様化によって,多くのがん患者が医療用麻薬の恩恵を受けている。また,一部の医療用麻薬の非がん性慢性疼痛への適応拡大から,医療用麻薬を用いたオピオイド治療が痛みの診療における重要な選択肢の一つになっている。そのため,医療用麻薬の処方を受ける患者は増加傾向にある。
日本においても,観光,仕事,留学などで海外渡航する人は右肩上がりに増加し,国土交通省によると2015年にはその数が1621万人に達している1)。そのため,医療用麻薬を取り扱う機会が多い医師を含めた医療者は,医療用麻薬による治療を受けている患者からの海外渡航の申し出に際して,迅速に対応できるように,必要な手続きについて理解しておく必要がある。
本稿では,厚生労働省の指針である「医療用麻薬服用中の患者の海外渡航の際の手続き」を概説し,筆者が実際に経験した手続きを紹介する。
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