症例検討 リスクのある妊婦の無痛分娩
巻頭言
角倉 弘行
1
1順天堂大学医学部 麻酔科学・ペインクリニック講座
pp.53
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200755
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- 文献概要
周術期における麻酔科医の役割は,単に手術中の痛みを取るだけでなく,周術期全体を通して患者の安全を担保することである。同様に,周産期における産科麻酔科医の役割は,単に分娩に伴う痛みを取るだけでなく,周産期全体を通して妊産婦の安全を担保することである。無痛分娩が普及した諸外国では,このような考え方が浸透しており,何らかのリスクを伴う妊婦の分娩に際しては,麻酔科医が積極的に介入し,リスクを軽減するために無痛分娩を活用している。しかし,このような考え方が浸透していない日本では「あなたはリスクがあるので無痛分娩はできません」と言われ途方に暮れている妊産婦が少なくない。
今回の症例検討では,リスクがあるので無痛分娩で管理したほうがよい症例を3例と,無痛分娩自体にリスクを有するが本人が強く無痛分娩を希望している症例を2例取り上げる。麻酔科医だからこそ対応できる無痛分娩の醍醐味を堪能していただきたい。
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