症例検討 術後悪心・嘔吐
巻頭言
角倉 弘行
1
1聖マリアンナ医科大学医学部 麻酔科学教室
pp.165
発行日 2007年2月1日
Published Date 2007/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100220
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- 文献概要
硬膜外麻酔やIV-PCAの普及に伴い,術後鎮痛の質はこの10年間で飛躍的に向上した。しかし,術後の悪心・嘔吐postoperative nausea and vomiting(PONV)は依然として大きな問題である。最近では,術後回診の際に痛みよりも吐気がつらかったと聞くことが決してまれではない。また,術前回診の際にも前回の手術の際に吐気がつらかったので不安ですと訴える患者も少なくない。
PONVの危険因子や有効な対処法も徐々には解明されているが,効果的な予防法が確立されていないのが現状である。それどころかPONV予防のために用いられてきたドロペリドールは,QT延長に伴う致死的不整脈を引き起こす危険性が指摘されて以来,慎重な使用が要求されている。また,PONVに有効であるとされているオンダンセトロンは高価で,わが国ではいまだに保険適応が認められていない。本特集では,現時点で実践可能なPONVの予防法および対処法について検討する。
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