徹底分析シリーズ 岐路に立つ産科医療:麻酔科医はいかにかかわるか
巻頭言
角倉 弘行
pp.401
発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100298
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- 文献概要
かねてから日本では周産期の母体死亡の割合が高いことが指摘され,産科医療の集約化と産科麻酔科医の配置の必要性が指摘されていた。しかし,事態は一向に改善せず,2006年には産科医療のあり方を考えさせる大きな事件が相次いで報道された。2月に福島県大野病院で癒着胎盤の産婦が帝王切開術後に死亡した事故で産婦人科医が逮捕され,8月には奈良県大淀病院で脳内出血を起こした産婦の転送先が見つからず産婦が死亡した。さらに,11月には神奈川県堀病院の看護師内診問題で院長などが書類送検された。これらの事態を受けてようやく日本でも産科医療の集約化の必要性が議論されつつある。このような産科医療の集約化に,麻酔科医はいかにかかわるべきか?
分娩施設が分散した現状では,麻酔科医がサブスペシャリティーとして産科麻酔を選択し実践することは困難である,ということは事実である。しかし,産科医療が集約化し,そこで産科麻酔専門の麻酔科医が働くことは,分娩の安全性と快適性の向上に大きく貢献することは間違いない。来るべき産科医療の集約化に向けて,麻酔科医が今,何をすべきかを考えるきっかけになれば幸いである。
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