徹底分析シリーズ PCA再考
巻頭言
角倉 弘行
1
1国立成育医療研究センター 手術・集中治療部
pp.773
発行日 2011年8月1日
Published Date 2011/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101306
- 販売していません
- 文献概要
世界で最初の商業用PCA装置が発売されてから35年が経過した。この間,海外の多くの国では機械式PCA装置が発展し普及してきたが,日本ではさまざまな事情からディスポーザブル式PCA装置を用いたPCAが発展してきた。そこで今回,現在の日本のPCAの状況を再確認し,今後の臨床の質をさらに向上させる方法を探求することにした。
最初に,PCAの基礎や日本の医療経済的な背景,海外事例もふまえた患者安全を解説した後に,術後鎮痛や無痛分娩,緩和医療などでのPCAの実践的利用法を紹介する。Part2では, PCA装置の動向と今後の課題を整理した後に,PCA装置を提供している企業が,おのおのの製品の特徴をアピールしている。
PCAと同じように日本独自の発展を遂げた携帯電話も,一時はガラパゴス携帯と揶揄されたものだが,最近では開き直って独自性を評価しようとする動きもみられる。ダーウィンの進化論は,環境の変化に適応することを肯定すると同時に,特殊な環境に適応しすぎた種は,大きな環境の変化に対応できなくなるとの警鐘を発している。
日本の医療を取り巻く環境は大きく変化しつつあるが,本徹底分析がPCA装置のさらなる改良と日々の臨床の質の向上に貢献できれば幸いである。
Copyright © 2011, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.