症例検討 脊髄くも膜下麻酔~だから脊麻はすごい,だから脊麻はこわい~
巻頭言
角倉 弘行
1
1国立成育医療研究センター 手術・集中治療部
pp.985
発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101357
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- 文献概要
JPOPが歌謡曲と呼ばれていた時代に「歌は世につれ世は歌につれ」という言葉があった。麻酔法も同じく,時代の変遷とともに変わっている。
いまでは,虫垂炎手術は腹腔鏡下で行われることが多くなったが,開腹手術しかなかった頃は,若い男性で極度の徐脈を経験し,麻酔科医の脈拍が上がることが少なくなかった。また,高齢者の頸部骨折などでは,麻酔レベルのチェックに苦労することが多かったが,最近は抗血栓療法の普及に伴い,全身麻酔が選択されることが増えている。
このような時代の移り変わりのなかで,なんとなく脊髄くも膜下麻酔に苦手意識をもっている麻酔科医が増えているのではないだろうか?
超音波診断装置を用いた最新の末梢神経ブロックや,ハイテクモニターを用いた全身麻酔に慣れ親しんでいると,脊髄くも膜下麻酔は,少し時代遅れな麻酔法のように扱われがちだが,いまでも脊髄くも膜下麻酔が第一選択となる手術は存在する。
本症例検討で,脊髄くも膜下麻酔のすごさとこわさを再確認してほしい。
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