症例検討 plan Aがだめなとき(前編)
巻頭言
稲田 英一
1
1順天堂大学医学部 麻酔科学・ペインクリニック講座
pp.725
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200333
- 販売していません
- 文献概要
周術期管理を行うに当たっては,術前から術後に至るまでの計画を立てる必要がある。しかし,計画はあくまで計画であり,必ずしもその通りに実際の臨床が進むわけではない。そのため,周術期の計画を立てる際は,最も確実性が高いplan A,それがうまくいかなかったときのplan B,さらにはplan Cまで用意しておく。それが「不測の事態」をまねかないために必要なことである。
今回提示した症例は,術後呼吸器合併症のリスクが高かったり,フルストマックであったりと,全身麻酔を避けたい状況があり,しかも脊髄くも膜下麻酔でできる手術なので,それを選択したところ,穿刺に難渋したり,十分な効果が得られなかったり,というアクシデントにより,plan Bへの変更が考慮される。「私は脊髄くも膜下麻酔は得意だから大丈夫」などと過信してはいけない。plan A通りに麻酔が順調に進んでも,術式が変更になったり,手術時間が延長したりして,全身麻酔に切り替える必要が出ることもあり得るからだ。
今回は神経軸麻酔を例に,plan Aがだめなときにどのように対処するべきかについて,二つの視点から取り上げた。自分ならどういうplan Bを立てるか,考えながら読んでほしい。
Copyright © 2015, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.