徹底分析シリーズ 研修医の素朴な疑問に答えます 薬あれこれ
オピオイドを投与すると呼吸抑制が起こる機序とは
酒井 寛泰
1
,
相良 篤信
2
,
成田 年
2
Hiroyasu SAKAI
1
,
Atsunobu SAGARA
2
,
Minoru NARITA
2
1星薬科大学 薬剤師職能開発研究部門
2星薬科大学 薬理学教室
pp.736-738
発行日 2014年8月1日
Published Date 2014/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102186
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●概要 医療用麻薬であるオピオイドは,急性痛や長期間続く慢性痛に対して,鎮痛薬として用いられている。しかし,脳幹(延髄)の呼吸中枢に存在するμ受容体に作用すると,呼吸活動の低下を引き起こし,動脈血二酸化炭素(CO2)濃度を上昇させる。 臨床プロトコールやガイドラインでは,周術期において,オピオイド作動薬の使用は比較的安全であると考えられている。実際,緊急を要するようなオピオイドによる呼吸抑制の発現は,非常に低い。 また,代表的なオピオイドであるモルヒネによる呼吸抑制は,非常に耐性が生じやすく,痛みそのものが呼吸抑制に対して拮抗的に働くことから,適切に投与するかぎり,問題となるような呼吸抑制の発現は少ない。 しかしながら,例えば,閉塞型睡眠時無呼吸患者,重度な肥満患者や高齢者など,種々の条件が重なってくると,オピオイドによる呼吸抑制の発現リスクは上昇する。このオピオイドによる重篤な呼吸抑制/無呼吸に対する薬物療法は,μ受容体の拮抗薬であるナロキソンの投与である。
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