徹底分析シリーズ 研修医の素朴な疑問に答えます 薬あれこれ
巻頭言
櫻井 裕之
1
1杏林大学医学部 薬理学教室
pp.735
発行日 2014年8月1日
Published Date 2014/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102185
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- 文献概要
麻酔・集中治療領域での生理学的な素朴な疑問を今月から数回に分けて取り上げていく。まずは,薬物に関するものをまとめた。 今回話題になっているrenal-doseのドパミンのように,生理学的にはよかれと思われた治療が,無作為化比較試験(RCT)の結果,実は効果がなかったといったことが増えてきている。このような事象に対して,生理学を勉強するよりは,とりあえず臨床のエビデンスを暗記しようとする人もいるかもしれないが,筆者は基礎医学の教育・研究者として,そのような風潮に歯止めをかけたいと思っている。そもそも,病態生理,生理,薬理を知らなければ,RCTの対象となるような治療法を思いつかないはずである。さらに,RCTで有意差がなかった理由を解明することで,生理学の理解が深まることが期待され,そのような場合にこそ,大いに“素朴な疑問”を抱いてほしい。 本特集を,単なる豆知識の集積として捉えるのではなく,読者諸氏の“素朴な疑問”へのアプローチの指針としてほしいと心より願っている。
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