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特集 大脳辺縁系
特別講演
嗅球における抑制の機序
SOME ASPECTS OF THE FUNCTION OF THE LIMBIC SYSTEM
中村 嘉男
John D. Green
1
1カリフォルニア大学医学部解剖学教室
1Department of Anatomy, School of Medicine, University of California
pp.915-918
発行日 1961年11月1日
Published Date 1961/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201149
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嗅脚を切断してから3〜4週間たつて,切断面より末梢側の外側嗅索を刺激すると,僧帽細胞の自発性の順行性発射と,逆行性発射とのどちらにも蓄積する抑制状態がつくられることを,vonBaumgarten,Manciaおよび私が共同で見出した。この状態は外側嗅索を連続電気刺激すると房細胞と顆粒細胞とに拡がつた。
毎秒1回の刺激による僧帽細胞の発射様式を統計的に調べてみると,このような逆行性の斉射でおこる抑制性の休止期は約100msecつづき,潜時は伝導時間よりは大きいが,非常に小さい。逆行性の活動雷位の見られないことがしばしばあつたが,スパイクは逆行性スパイクが出現しはじめる時期から休止期の終りまではみられなかつた(第1図)。しかし,房細胞のあるものは,外側嗅索の逆行性刺激によつて多シナプス性に活動させられる。僧帽細胞の反応(これは逆行性反応である)と違つて,活動させられた房細胞の潜時は僧帽細胞の場合より長く,狭い範囲内でのばらつきをみせたり,あるいは別の潜時に移つてしまうことさえあつた。僧帽細胞は時には400/secの逆行性斉射にも追随した。これにたいして,房細胞は約50/sec以上には追随できなかつた。
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