徹底分析シリーズ 困難な呼吸器手術
周術期呼吸リハビリテーション―術後呼吸器合併症を減らし,早期離床と早期退院が可能に
宮㟢 博子
1
Hiroko MIYAZAKI
1
1京都桂病院 リハビリテーションセンター
pp.650-655
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102167
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
近年,社会の高齢化に伴い,高齢の癌患者の手術適応が増える傾向にある一方,手術方法や呼吸管理の進歩によって,重症患者にも手術適応が拡大している。高齢者には,加齢に伴う運動耐容能や肺機能の低下,低栄養状態などが存在し,また,慢性閉塞性肺疾患(COPD),糖尿病や高血圧症,虚血性心疾患などの併存疾患や,脳血管障害や骨関節障害による運動障害を有する割合も高くなり,術後合併症を発症するリスクが高い。なかでも,術後呼吸器合併症は生命予後に影響する。開胸・開腹手術の院内死亡の40~60%が,呼吸器合併症が原因とする報告1)もある。したがって,術後の呼吸器合併症を予防し,臥床時間を短縮して,早期離床と早期退院を進める呼吸リハビリテーション(以下,呼吸リハ)は,きわめて重要になる。 術後呼吸器合併症を発生しやすい点においては,呼吸器手術にとどまらず開胸・開腹手術も同様に考える必要があるので,本稿では,開胸・開腹手術を含めて概説する。
Copyright © 2014, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.