特集 褥婦と体力の回復
褥婦と早期離床について
田中 豊
1
1日産厚生会玉川病院産婦人科
pp.25-29
発行日 1973年10月1日
Published Date 1973/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204589
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1.はじめに
正常の経過をとった産褥期についての臨床的資料の発表は割合に少ないので,直接褥婦の管理にあずかる助産婦の方は,自分の経験から割り出した管理方式をとっている場合が多いと思います。すなわち病院や産院で今まで行なってきた管理方式とか,あるいは助産婦の自らの経験から考え出した管理のしかたで,産褥期の管理が行なわれておりますので,その取扱い方の間にかなりの開きがあることは否定できません。
私も産褥期の母体の変化を種々研究・調査いたしましたが,まず全身的に見ますと,第1は,循環器系の変化をあげなければなりません。その他血液,呼吸器系,消化器系と妊娠に始まり,分娩を終了して始まる産褥期は,一言で言えば,妊娠の継続によりはなはだしく亢進した負荷のため新陳代謝機能の上昇が,分娩という極限を乗り越え急に負荷が取れた時点であり,特に産褥初期からいわゆる,正常な非妊時の状態に変わりますので,この過渡期をうまく指導し,早くこの状態に適応させるように指導する必要があります。
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