徹底分析シリーズ 困難な呼吸器手術
肺外科手術後における抜管のストラテジー―気道評価,十分な鎮静,咳反射の抑制
中沢 弘一
1
NAKAZAWA,Koichi
1
1東京医科歯科大学医学部附属病院 集中治療部
pp.644-648
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102166
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肺外科手術後に懸念される問題点の一つに,呼吸機能低下がある。それは,ベースとなる術前呼吸機能が必ずしも正常ではないことに加えて,手術侵襲により病変周囲の健常部分を含む肺を切除することや,呼吸のポンプ機能を司る胸郭も手術時に損傷を受けるためである。呼吸機能は,術直後から1PODにかけて大きく低下し,予測されるレベルに回復するのには術後1週間から数か月を要するとも言われている1,2)。しかし,肺外科手術後は,早期に陽圧呼吸から自発呼吸に戻して抜管したいという事情もある。抜管に慎重になりがちな麻酔科医に比べ,しばしば呼吸器外科医が早期に抜管を望むのは,陽圧呼吸がリークを発生あるいは増悪させたり,気管挿管が術後肺炎あるいは人工呼吸器関連肺炎といった手術や麻酔とは直接関係のない気道合併症を増加させるためであろう3)。さらに,肺外科手術ならではの合併症もあることに注目したい。 抜管に際しては,呼吸循環および全身状態が整っていることはもちろん重要であるが,このような複雑な背景を踏まえて,肺外科手術後の抜管について考察する。
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