症例検討 産科出血は怖くない!(前編)
帝王切開で児娩出後の子宮収縮不良―子宮収縮薬を中心とした弛緩出血への積極的な対応
中村 信人
1
Nobuhito NAKAMURA
1
1神奈川県立こども医療センター 麻酔科
pp.544-548
発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102143
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症例
35歳(1経妊0経産)。身長152cm,体重47kg。妊娠高血圧症候群のため妊娠36週3日に誘発分娩となった。オキシトシンによる促進開始後に妊婦からのリクエストもあり,硬膜外麻酔による無痛分娩を導入した。子宮口が全開大となった後に児頭が下降せず,血圧も上昇傾向を認めたため,帝王切開術が決定された。分娩開始時の血液検査ではヘモグロビン値11.2mg/dL,血小板数23万/mm3で,凝固機能検査も正常範囲内であった。朝から食事は摂取しておらず,分娩経過中も少量の飲水のみであった。手術室入室時の血圧は162/104mmHg,心拍数は78bpmであった。硬膜外麻酔で手術を開始し,順調に児を娩出した。通常通り,オキシトシン5IUを3分程度で緩徐に静脈内投与したが,産科医から子宮収縮が十分でないのでメチルエルゴメトリンを追加してほしいと依頼された。
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