徹底分析シリーズ デクスメデトミジンと鎮静
区域麻酔や局所麻酔で臨む周術期の鎮静と鎮痛―術中の呼吸・循環変動の抑制と術後のすみやかな回復を目指して
稲垣 喜三
1
Yoshimi INAGAKI
1
1鳥取大学医学部器官制御外科学講座 麻酔・集中治療医学分野
pp.218-223
発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102064
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手術を受ける患者の高齢化とともに,合併症の種類も重症度も増加し,より患者負担の少ない安全で予後を考慮した周術期管理が求められる時代となった。多臓器にわたる合併症を有する患者では,区域麻酔や局所麻酔で手術が可能であれば,全身麻酔を避ける傾向にある。そして,患者の快適性を考慮すると,術中の鎮静や鎮痛は不可欠である。この場合,鎮静の深さは,軽度の刺激によって覚醒はするが不快感を伴わない程度,いわゆる「意識下鎮静」レベルが目標である。鎮痛も自発呼吸や循環動態への影響が軽微であるように,オピオイドを中心とした鎮痛薬を使用することになる。このような鎮静や鎮痛を,麻酔科医のもつ高度な麻酔技術と適切なモニタリングを駆使して施行するのが,monitored anesthesia care(MAC)と呼ばれる麻酔管理法である。
本稿では,MACを中心に考えたときに望ましい周術期の鎮静法と鎮痛法について概説する。
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