特集 バイタルサインから読む! 薬のリスクマネジメント
鎮静と呼吸抑制にかかわる薬
加賀谷 肇
1
1済生会横浜市南部病院薬剤部
pp.755-761
発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100967
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医療現場では意図的に鎮静を促す場面が多々あるが,これは使用方法によっては呼吸抑制を及ぼす可能性がある.呼吸は人間の生命維持に欠かせない重要な役割を果たしており,呼吸抑制は患者の身体に重大な影響を及ぼし得る.よって,鎮静と呼吸抑制にかかわる薬の使い方の工夫と,使用時の医療者による経時的観察は欠かせない.そこで今回は,呼吸抑制と鎮静にかかわる薬とそのリスクを紹介する.
鎮静については,臨床現場によって捉え方に違いがある.たとえば,ICUや救急で行なわれる鎮静は,人工呼吸や侵襲的な処置を行なうときに一時的に意識レベルを低下させ処置を苦痛なく安全に行なうための補助的治療をいい,精神科領域では,興奮・不穏状態にある患者に危険行為がないように鎮静を行なうことをいう.また,緩和医療においては,末期がん患者の臨死期で,標準的治療に反応しない耐えがたい呼吸困難感や不穏・興奮状態,全身倦怠感に対し,意識を保ったままで身体症状を緩和することが難しい場合に,意図的に意識レベルを低下させて苦痛を軽減させること(セデーション)をいう.
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