症例検討 術中輸血の決断
―肝切除中の出血:麻酔科医の視点から―肝予備能・予想残肝機能を適切に評価し,不必要な輸血を避ける
玉井 悠歩
1
,
折井 亮
1
Yuho TAMAI
1
,
Ryo ORII
1
1東京大学医学部附属病院 麻酔科・痛みセンター
pp.1208-1212
発行日 2012年11月1日
Published Date 2012/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101682
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症例
59歳の男性。身長170cm,体重65kg。自覚症状はなかったが,HCV抗体陽性のためスクリーニングで施行した超音波検査で,肝右葉の中肝静脈近傍に,径6cm大の肝細胞癌(HCC)が認められた。肝予備能はChild-Pugh分類A(5点),ヘモグロビン値(Hb)13.4g/dL,ヘマトクリット値(Ht)41.5%であった。Pringle法を併用し,超音波破砕切開装置にて肝切除を進めたが,肝切除が半分終了した時点で中肝静脈枝からの出血(計800mL)が続き,Hb 9.2g/dL,Ht 33.9%と低下した。
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