徹底分析シリーズ 神経精神疾患と麻酔
巻頭言
坪川 恒久
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座
pp.1197-1199
発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200446
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神経精神疾患患者の麻酔を担当する機会は多い。日本人口におけるうつ病の有病率は2%,統合失調症1%,発達障害1%,注意欠如・多動性障害3%(成人),Alzheimer病では年齢が上がるごとに増え,80歳以上では20%を超えてしまう。このように今回の徹底分析シリーズで取り上げた神経精神疾患は,実は麻酔科医にとって身近な疾患である。しかし多くの場合,その疾患自体が外科的治療の対象とならないので,疾患あるいは治療薬に関する知識があいまいになっている。そこで各稿では,治療薬を表にまとめた。
神経精神疾患の治療薬の多くは,アセチルコリン,セロトニン,ドパミン,ノルアドレナリンなどの神経伝達物質とその受容体をターゲットとしたものであり,体内では多彩な生理的作用をもつため,さまざまな注意点が存在する。さらに,数ある副作用のなかでも麻酔科医として必ず知っておかなければならない病態として,悪性症候群とセロトニン症候群がある。この二つの症候群は臨床症状に特徴があり,また見落とすと死にいたる可能性があるものであり,知識を整理してそのサインを見逃さないようにしなければならない。
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