徹底分析シリーズ 病的肥満の治療と麻酔
肥満外科手術の麻酔―“Plan for the Worst, Hope for the Best!”最悪を想定して計画を練り,最善を希求する
白石 としえ
1
SHIRAISHI, Toshie
1
1四谷メディカルキューブきずの小さな手術センター 麻酔科
pp.122-129
発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101133
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
「肥満外科手術」という言葉に,医療者であっても「脂肪吸引?」と反応してしまう人は少なくないだろう。日本では「そんな危険な麻酔を日々やっているのですか!」と驚かれることが多く,肥満外科手術に対する認知度はまだ低い。しかし肥満大国アメリカでは,年間約22万件と,乳癌手術とほぼ同等の件数が行われているメジャーな手術であり,美容を目的とせず,肥満に伴う合併症の改善または治癒を目的とするものである。
2009年の米国糖尿病学会では,「2型糖尿病を合併するBMI35以上の病的肥満患者は外科的治療の適応である」と宣言している。病的肥満患者の全身リスクを考えると,できれば避けたいと思う麻酔科医も少なくないであろうが,肥満外科手術の意義,そして現代社会における必要性を理解し,麻酔科医も積極的にかかわっていかねばならないと考えている。
本稿では,これまでの経験を踏まえ,肥満外科手術の麻酔管理のポイントを紹介する。
Copyright © 2011, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.