症例検討 呼吸器疾患患者の周術期管理
術前の呼吸機能評価—基本に立ち戻り,慎重な麻酔計画を練る
伊藤 裕之
1
,
内田 篤治郎
1
Hiroyuki ITO
1
,
Tokujiro UCHIDA
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 心肺統御麻酔学
pp.950-953
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200962
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手術室にくる患者は,呼吸器疾患を合併している場合が多い。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は成人の約10%,気管支喘息は約5%の有病率と報告1,2)されている。厚生労働省の『平成27年 国民健康・栄養調査報告』によると,成人の喫煙率は18.2%(男性30.1%,女性7.9%)であり,予定手術前には可能な限り長期間の禁煙が勧められるが,緊急手術その他の事情により,術前に一定期間の禁煙がなされない患者の麻酔を行わざるを得ないこともある。
手術をすれば,あらゆる患者で呼吸機能が低下する可能性はあるが,特に呼吸器疾患合併患者では術後肺合併症により入院期間の延長や,最悪の場合には死亡につながる可能性もある。そのため,術前の呼吸状態の評価がきわめて重要であり,その評価にもとづいた麻酔計画を立てる必要がある。
本稿では,呼吸器疾患患者の麻酔を担当するにあたり,術前評価でどのような点に気をつけるべきかについて概説する。
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