連載 私の見たイギリス保健・医療・福祉事情・10
The NHS plan—創設後最大の抜本改革
近藤 克則
1
1日本福祉大学社会福祉学部
pp.764-765
発行日 2002年10月15日
Published Date 2002/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902835
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前号まで,NHSの危機的状況から脱するために,ブレアのニュー・レイバーが次々と行った医療改革を紹介してきた.それは,効率だけでなく効果(質)や公正さも重視する第三の道を基本理念とし,ニュー・パブリック・マネジメントの手法を用いた改革であった.具体的には,NSF(National Service Framework)やNICE(国立臨床効果研究所)による医療サービスのスタンダードの設定,予算保持一般医の廃止とPCG(primary care group)への移行,PAF(Performance Assessment Framework)やCHI(医療改善委員会)によるモニタリングなどを組み合わせたものである.
しかし,その効果については多くの懐疑的な意見が出されていた.人手不足で限界に達していた現場は,頻繁な制度改革に疲れていたし,多面的な政策評価に必要な報告など,ペーパーワークの増大は,むしろ一層の士気の低下を招き「どうせ今度もよくなるはずがない」というあきらめを招いていたのだ.
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