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特集 消化器内視鏡寸言集2025
Ⅰ.全般[治療]
最善を祈って最悪に備える
Trust, but verify!
後藤田 卓志
1
Takuji Gotoda
1
1がん研究会有明病院上部消化管内科
pp.492-492
発行日 2025年4月25日
Published Date 2025/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001976
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解説
物事が上手くいった場合,記憶にはあまり残らないのが常である。連戦連勝が確約されているのならよいが,スポーツや人生は勝ったり負けたりが通常である。しかし,医療においては勝ったり負けたりでは患者はたまったものではない。常に結果が求められるのが医療である。しかし,その結果にたどり着く方法にはいくつかあると思う。想定どおりの完璧な治療,少し横道にそれたがまずまずの結果,かなりの紆余曲折があったが期待された結果,期待しない結果,などなど。期待しない結果には,本当に残念ではあるが大きな事故を回避するために仕方がなかった場合,誰も期待していないとんでもない結果があると思う。これらで重要なのは,横道,紆余曲折,期待しない結果含めて事を始める前に想定していたのかどうか,である。人間を相手にする医療(もっといえば犬や猫も含めた生き物すべて)では,想定外では済まされない。想定外の自体も想定して事を始めるくらいの慎重な準備が必要である。なんとなく始めるなどあってはならないのである。小生は,困難症例に対するESDでは今でも何度もシミュレーションを行うのだが,あまりの惨劇に眠れなくなることも時にはある。
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