増大号特集 絶対! 整形外科外傷学
column
最悪の事態を想定しておけば,最悪なことは起こらない
酒井 昭典
1
Akinori SAKAI
1
1産業医科大学整形外科学講座
1Department of Orthopaedic Surgery, University of Occupational and Environmental Health
pp.661
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408202998
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手術において最悪の事態を想定し,悲観的に準備しておけば,最悪なことは起こらないものです.手術までに心がけるべきことは,どこまでも悲観的に準備をすることです.順調にいかなかった場合にどうするかを前もって決めておくことです.そうすれば,不測の事態が起きても,すべては想定内となり,何が起ころうとも落ち着いて対処することができます.
身近な例を1つ挙げれば,裂離骨折で小さな骨片をスクリューで内固定しようとして,骨片を割ってしまった場合です.割れるかもしれないことを事前に想定し,割れたときはtension band wiringで固定する,あるいは,骨接合を諦めて軟部組織をsuture anchorで固定する,あるいは,骨粗鬆症で骨質が悪くanchorが骨から引き抜けてしまったときはpull-out wireで固定するなど,次善の策を考え,フローチャートを描いて,固定材料をすぐ出せるように準備しておけば,すべてのイベントは想定内です.焦ることなく,手順よく手術ができます.
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