徹底分析シリーズ 麻酔科医とタンパク質の一生≪番外編≫
グレリン:あるときは,またあるときは,してその実態は
萩原 聡
1
Satoshi HAGIWARA
1
1大分大学医学部 麻酔科学講座
pp.156-158
発行日 2010年2月1日
Published Date 2010/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100864
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●グレリンとは?
グレリンghrelinは,1999年に国立循環器病センターの児島将康,寒川賢治らによって発見された比較的新しいホルモン物質である1)。グレリンは胃に存在しているX/A-like細胞と呼ばれる内分泌細胞により合成・分泌されている。最近の研究では,胃以外にも,腸管,視床下部,下垂体,膵臓,腎臓,胎盤,精巣などで,少量ではあるが産生が認められている。
グレリンはペプチドホルモンであり,下垂体に働き成長ホルモン(GH)の分泌促進や,視床下部に働いて食欲を増進させる働きを持つことが知られている2)。分子量3370.9であり,28個のアミノ酸(1 GSSFLSPEHQRVQQRKESKKPPAKLQPR 28)より構成されている(図1)。
普段は不活化された状態で存在しているが,3番目のセリンがオクタノイル化修飾をうけることにより,生理活性を示すようになる。また,オクタノイル修飾がされない不活性型グレリンをデスアシルグレリンと呼び,血中では大部分がこの型で存在している。
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