徹底分析シリーズ またまた研修医の素朴な疑問―2
TCIの有用性と限界とは何か?
中尾 正和
1
1JA広島厚生連廣島総合病院 麻酔科
キーワード:
薬物動態
,
薬物力学
,
血中濃度
,
効果部位濃度
,
コンパートメントモデル
Keyword:
薬物動態
,
薬物力学
,
血中濃度
,
効果部位濃度
,
コンパートメントモデル
pp.786-789
発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100388
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●Target Controlled Infusion(TCI)とは
TCIとは「濃度を意識した麻酔管理」を行いやすくする投与方法の一つである。目標濃度を設定し,その濃度が維持できるように,ポンプの投与速度を制御している。
一般に薬物を投与する際には,実測した濃度に従って投与量を変更すればよいはずである。しかし,静脈麻酔薬ではリアルタイムに測定することが困難なため,薬物動態から,濃度挙動を推定することが行われている。定常状態では
投与速度 ∝ 濃度 ∝ 効果
であり,投与速度と効果の間には直線関係があるが,定速では定常状態になるまでに半減期の4~5倍の時間を要する。ドパミンなどのように半減期が短ければ,速やかに濃度は安定し,直感的に「投与速度 ∝ 濃度」となる。さらに,血行動態の改善という効果も明らかであり調節しやすい。しかし,実際に利用できる静脈麻酔薬は半減期がもっと長く,投与速度から濃度(ひいては効果)を推定することが困難である1)。
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