特集 緑内障診療―グレーゾーンを越えて
Ⅰ.診断編
3.視神経乳頭
GDxの有用性と限界
国松 志保
1
1自治医科大学眼科学講座
pp.109-115
発行日 2009年10月30日
Published Date 2009/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102931
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GDxとは
GDx(Carl Zeiss Meditec社)とは,波長780nmのダイオードレーザー光を用いた共焦点レーザー走査眼底観察装置である。偏光レーザーが眼底に照射されると,網膜神経線維層(retinal nerve fiber layer:RNFL)を通過する際に,その複屈折性により速度の異なる2つのレーザーに分かれる。この2つの反射光の通過速度の差は遅延(retardation)とよばれ,網膜神経線維層厚と正の相関を示すことが知られており1),本装置はその時間差を検出し網膜神経線維層厚を計算するものである。
しかし,眼内で複屈折性をもつものには,網膜神経線維層のほか角膜,水晶体がある。前の世代であるGDxAccessでは,角膜の複屈折性の大きさや軸を一定の値として補正していたため,症例によっては,角膜の複屈折性を正しく補正できなかった。その後,角膜偏光代償器(variable corneal compensator:VCC)により,各症例ごとの角膜の複屈折性を補正することができるようになった。これは,まず黄斑部を含む眼底像を取り込み,黄斑部の複屈折性は均等であるという前提に基づいて,中心窩周囲の複屈折分布パターンから個々の角膜複屈折性の大きさと軸を同定し,次に視神経乳頭を中心とした画像を取り込み,角膜複屈折性を補正するものである2)。GDxVCCにより,GDxの診断精度は向上した3)。
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