Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
Magnetic resonace cholangiopancreatography:(以下MRCP)は無侵襲で造影剤を使用することなく,膵胆道が描出できる画期的な方法である.原理は強いT2強調画像を撮像すると,静止液体である胆汁と膵液は高信号に描出され,周囲臓器の肝,膵などは低信号に描出される.この原画像を二次元,三次元で再構成するとERCPと同様の像が得られる.機器の進歩によって短時間で空間分解能の良好な画像が得られるようになり,臨床で広く応用されるようになった.
MRCPは1991年,Wallnerら1),Morimotoら2)によって初めて報告された.撮像法としてsteady statefree procession (SSFP)を用いたが,空間分解能が悪く,拡張した膵胆道は描出できたが,正常の膵胆道は描出困難であった.しかし,筆者は1992年の第28回日本胆道学会総会ワークショップ『横断画像による胆道疾患診断の進歩』における森本らのMRCPの発表で3),肝門部胆管癌によって分断された左右の肝内胆管が明瞭に描出されたMRCPの画像を初めて見て.強い感銘を受けたことを覚えている.1994年にTakeharaら4)はecho trainを延長したfast spin echo(FSE)法で表面コイルを使用して,慢性膵炎の拡張した膵管の描出に成功した.SSFP法に比べると空間分解能は改善されたが,呼吸停止時間が20秒~1分と長く,motion artifactによって正常膵管の描出は困難であった.Sotoら5)はMRIの呼吸同期法を用いて画像の改良を試みたが,正常膵管の描出率は低かった.FSE法では画像再構成に最大値投影法(maximum intensity projection:MIP)を用いるため再構成の際にアーチファクトが起こり,膵胆管の狭窄や陰影欠損の偽陽性が多かった.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.