徹底分析シリーズ 酸素:ヒトの強い味方,酸素を理解する!
酸素解離曲線と赤血球輸血
松山 博之
1
Hiroyuki MATSUYAMA
1
1飯塚病院 麻酔科
pp.234-237
発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100049
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
肺で取り込まれた酸素は血液により各組織へ,最終的には細胞内のミトコンドリアに運ばれ,エネルギー産生に利用される。酸素運搬の主体となるのは血液ではヘモグロビン,細胞内ではミオグロビンである。これら二つのタンパク質は酸素との結合様式が異なり,効率的な酸素運搬を可能にしている。各組織への酸素運搬能はマクロ的には心拍出量と動脈血酸素含量との積で表される。ここに関与するのはヘモグロビン量であり,その機能は含まれていない。また,血液と細胞との酸素運搬の場となる微小循環も考慮されていない。微小循環が破綻する敗血症などでは,酸素運搬能は組織への酸素供給量の指標とはならない。ヘモグロビンの運搬媒体である赤血球は形態を変える能力があり,微小循環を通過することができるだけでなく,自ら微小循環制御していることがわかっている。本稿では,ヘモグロビンの酸素結合能と保存赤血球の機能について述べる。
Copyright © 2008, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.