Japanese
English
特集 低酸素と生体
低酸素における肺組織・細胞の応答
Response of the Pulmonary Organs and Cells to Hypoxia
水野 史朗
1
,
石崎 武志
2
Shiro Mizuno
1
,
Takeshi Ishizaki
2
1福井大学医学部第三内科
2福井大学医学部基礎看護学科
1Third Department of Internal Medicine, University of Fukui
2Fundamental Nursing, University of Fukui
pp.1119-1125
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100122
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はじめに
慢性閉塞性肺疾患,間質性肺炎などの慢性呼吸不全患者は気腫化,線維化などの既存の肺構造の破壊とともに,肺高血圧,肺性心をもたらす肺血管のリモデリングを生ずることがよく知られている1).進行した慢性呼吸不全患者では,局所または全身の低酸素血症が存在しており,この生体内の危機に対して酸素を全身に運ぶ効率を上げるため,組織,細胞レベルでの様々な適応を行うと考えられるが,その不十分な適応による全身の機能維持の破綻が肺高血圧症,肺血管リモデリングとして顕在化してくるのである.肺血管を構成する細胞としては,血管内皮細胞,平滑筋細胞,線維芽細胞などの血管構成細胞の他に,好中球,リンパ球,マクロファージなどの組織間を遊走する浮遊細胞が挙げられるが,互いが種々のメディエーターを介して密接な関係を持っている.そのため肺血管リモデリングの発生機序や病態は非常に複雑で,単一の組織,細胞の変化のみで説明することは不可能である.
本稿では,低酸素における肺循環障害の病態機序,特に肺血管リモデリングを中心に,肺組織・細胞の分子学的応答,これらに関わる細胞増殖調節因子について概説する.
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