Japanese
English
特集 認知症・神経変性疾患の克服への挑戦
Ⅰ.従来の主要な臨床試験の結果と考察
1990年以後の神経栄養因子臨床試験からの知見と教訓
Knowledge and lesson from clinical trials of neurotrophic factors after 1990s
岡澤 均
1,2
,
本木 和美
1,2
Okazawa Hitoshi
1,2
,
Motoki Kazumi
1,2
1東京医科歯科大学難治疾患研究所
2東京医科歯科大学脳統合機能研究センター神経病理学分野
キーワード:
神経栄養因子
,
臨床試験
,
筋萎縮性側索硬化症
,
アルツハイマー病
,
神経変性
Keyword:
神経栄養因子
,
臨床試験
,
筋萎縮性側索硬化症
,
アルツハイマー病
,
神経変性
pp.291-295
発行日 2016年8月15日
Published Date 2016/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200456
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神経発生で神経栄養因子を神経変性疾患の治療に用いる試みは,1990年代に始まった。2000年代までには,insulin-like growth factor 1(IFG1),brain-derived neurotrophic factor(BDNF)など複数の神経栄養因子が筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis;ALS)の治療を目的としたヒト臨床試験PhaseⅢに至ったが,有効性はすべて否定された。この結果は,今後の神経変性疾患の治療戦略を考えるうえで多くの教訓を含んでいるが,それを理解するためには,神経栄養因子そのものの成り立ちを考えることも必要であろう。そこで本稿では,神経栄養因子とは何か(歴史),1990-2000年代の臨床試験の詳細,そして,それを踏まえた将来戦略について議論してみたい。
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