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分子生物工学の進歩により,ここ十数年の間に神経栄養因子の研究は驚異的な発展を遂げた。運動神経細胞に対して著明な延命促進作用のある因子はすでに十数個報告されている。そのうち,毛様体栄養因子(CNTF),インスリン様栄養因子(IGF-1),グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF),脳由来神経栄養因子(BDNF)はすでに治療試験が終わったが,様々の理由により効果なしとの結果であった。しかしBDNFの治療試験では,試験後のデータ解析を行ったところ,消化器系の副作用のあった患者に著明な延命効果のあることが分かり,これに基づき,現在BDNFによる二つの治療試験が進行中である。この総説では,各々の治療試験の結果,さらにそれに伴った問題点,栄養因子の新しい領域,これから発展すると思われる投与法・治療法などを含めて,神経栄養因子の将来について述べる。
Although the first neurotrophic factor, nerve growth factor (NGF), was discovered nearly a half century ago, rapid progress of neurotrophic factors truly began with the advent of biotechnology in the 1980s. To date, some 25 neurotrophic factors have been identified and their complex functional properties, intricate receptor system, and signal transduction mechanisms have been increasingly characterized in the last decade.
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