- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.Electronic nudges to increase influenza vaccination in patients with chronic diseases:a randomized clinical trial. JAMA 2024;332:1900-11. PMID:39392741
研究デザイン│全国規模のレジストリをもとにした無作為化臨床実施試験
背景・目的│世界的にガイドラインが強く推奨しているにもかかわらず,慢性疾患を有する若年・中年患者のインフルエンザワクチン接種率は依然として十分ではない。接種率を上昇させるための,効果的で大規模に実現可能な戦略が必要である。行動科学的知見に基づいた,電子的に配信されるレターベースのナッジが,18〜64歳の慢性疾患患者のワクチン接種率を高めるかどうかを検証する。
対象│18歳以上で2024年1月16日時点で65歳未満の成人。慢性疾患でインフルエンザによる有害な転帰のリスク上昇に関連することが知られているものを有する全国民。参加者は,ICD-10コードに基づき,あらかじめ規定された定義を用いて,全国的な健康管理レジストリから同定された(デンマーク,2023年9月24日〜2024年5月31日)。
介入・方法│通常ケア群と6つの異なる介入群のいずれかに,2.45:1:1:1:1:1:1に無作為に割り付けた。介入群では,インフルエンザワクチン接種を受けるよう促す異なる行動科学に基づいた6種類の電子レターをそれぞれ受け取る。介入は正式には盲検化されていないが,患者の同意が不要であったことから,通常ケア群は対照群であることを知らなかった(隠蔽化あり,非盲検)。層別化なし。すべての介入レターはデンマーク語で書かれ,標準的なレターテンプレート(受取者がワクチンの無料接種の対象となる理由,慢性疾患患者におけるインフルエンザ罹患リスクの説明,ワクチン接種のスケジュール,COVID-19ワクチンとの同時接種が可能であることなどを含む)に基づいて作成された。行動科学を検証するために,レターは次の①〜⑥に分類された[①標準レター,②10日後に再送される標準レター,③心血管疾患(CV)リスクの予防を強調するレター,④呼吸器疾患リスクの予防を強調するレター,⑤積極的選択/意図実現の促進を目指すレター,⑥リスク強調型(損失フレーミング)レター]。
プライマリアウトカム│2024年1月1日までのインフルエンザワクチン接種率(ITT解析)
結果│合計299,881例〔女性53.2%,年齢中央値52.0(IQR 39.8〜59.0)歳〕が無作為に割り付けられた。接種率は,通常ケア群(27.9%)と比較して,介入レター群(39.6%)で高かった(差11.7%ポイント,99.29%CI 11.2〜12.2%ポイント,p<0.001)。いずれの種類のレターでも,接種率は有意に上昇し,レター②(レター再送群41.8% vs. 通常ケア群27.9%,差13.9%ポイント,99.29%CI 13.1〜14.7%ポイント,p<0.001)と,レター③(CVリスク予防強調群39.8% vs. 通常ケア群27.9%,差11.9%ポイント,99.29%CI 11.1〜12.7%ポイント,p<0.001)で最大の効果が観察された。接種率は,主要なサブグループ全体で改善した。
結論│全国規模の無作為化臨床実施試験において,電子的に配信されたレターベースのナッジは,慢性疾患を有する若年・中年患者において,通常のケアと比較してインフルエンザワクチン接種率を顕著に上昇させた。

Copyright © 2025, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.