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日本看護倫理学会第17回年次大会 シンポジウムⅠ
神経難病患者のケアをとおして考える、大切にしたいこと
What we want to think about and value through the care of patients with intractable neurological diseases
久保田 聰美
1
1高知県立大学看護学部
pp.88-91
発行日 2025年3月20日
Published Date 2025/3/20
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- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
神経難病領域における看護倫理として、「大切にしたいこと」を様々な立場と共有する意味
筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis、ALS)は、運動神経が障害される進行性の難病である。この神経難病のALSは、歩行や構音、嚥下、呼吸の障害から日常生活の全般にまで障害が及ぶという点が特徴的である。したがって、ALS患者は症状進行に合わせて治療や療養に関する様々な意思決定が必要となってくる1。しかし、この意思決定の場面は、人工呼吸器の装着有無に限らず、療養生活の様々なところで見られ、ここには倫理的な課題が多く含まれている2。
実際、在宅で療養中のALS患者の症状が進行し、人工呼吸器を使用しても呼吸苦があるなか、生命を維持しながら普段の生活・望みをどのように維持するのか、何を優先するのかに悩むときがある。今回、これに関して実習指導を担当した学生と施設の看護師たちが同様に悩み、それでもなんとかよりよい支援を考える事例に出会うことができた。看護師に限らない多くの医療従事者がこの事例と同様、臨床実践において、患者の生命と生活の維持という一見相反する場面に出会うことがあるだろう。
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